フェラーリ456はフロントエンジン後輪駆動スタイルで、フェラーリ初代から歴史を受け継いでいる
正統な跳ね馬モデルかと思います。 V12気筒のエンジンは恐ろしいほどのトルクパワーを出すことができますが、残念な事に現在
456の販売価格が低迷しております。 生産台数や年代も有りますが、細かいところがすぐ壊れてしまい交換パーツが高価であると
言ったところが大きな要因かと考えられます。
今回もドアガラスがきちんと動かないという事で修理をさせて頂くことになりました。
ドアガラスがお辞儀をしてしまうように前側が上がらないという症状になります。
ガラス周りにサッシュが付いていないのでガラス調整が非常にシビアになります。
レギュレターを外して良く見たらビックリです。 アームが分解してしまいました。
アームの合わさった所に亀裂が入っていたのでしょう。 ガラスの前側が上がらない原因だと思われます。
カシメ部分はジュラルミン系のアルミ合金が使われています。
亜鉛などの配合割合で強度が違ってきますが、経年劣化が主な壊れる原因です。
8枚のギザ歯にかなりの負担がかかっていた物と思われます。
本来レギュレター交換となりますが、20万円位してしまうのかな? ここは技術と根性で直してしまおうと踏ん張ってみました。
ギザ歯の隙間にM3ステンレスのボルトを8本通し、ナットで共締めしてみました。
ボール盤で加工すればもっと綺麗に行くはずでしたが、少し斜めになった所が干渉してしまう為、表と裏にボルトナットを
分ける事となってしまいました。 ちょっと失敗です。
見た目は悪くても強度はバッチリです。
アームの合わせ目中心にワッシャーをボルトで留めればソコソコいい感じですね。 後はレギュレター本体にアームがこすれない様に
気をつければレギュレター修理完了となります。
いい感じですね。 サブアームがレギュレター本体の裏側でスライドする様に作られていますが、ここの所が456のドアガラス
調整のカギとなるのです。 今回の修理でしばらくは問題なく稼働するでしょう。
高価な新品を用意すれば容易に直すことができますが、見方を変えればいろいろな方法があります。
難しいようでも有りながら、時間をかけて手を加えれば結構面白い案が浮かびます。
完成です。 修理も安価で済みました。