剥離作業はトランク内から室内へ移動します。
後部座席周辺の剥離が、本職の合間とはいえ約1ヶ月掛かってしまった。
ペーパー空研ぎ、ワイヤーブラシ、錆止め、毎日の繰り返し作業。
しかし鉄本来の輝きを見てしまうとついつい夢中になってしまいます。
助手席側のフロアは無事ですね。
ロッカーパネル際に小さい腐食がありますが、溶接で簡単に治せる状態。
運転席側は補修痕が出てきました。
少々気になるので、ピラーの継ぎ目やフロアの継ぎ板も綺麗にやり直します。
ひとまず錆止め、エポキシプライマー処理。
ドア4枚とも異常に綺麗な状態。
おそらく前オーナーさんがドアパネル4枚とも交換していると思われます。
ある意味ラッキーかも。
フロントフェンダーの多少のへこみは致し方ない。
腐食が理由でドアヒンジ付近が治されていますが、この部分は鈑金の
やり直しが必要となります。
左右とも同じ補修がされていることから、根本的な原因がありそうです。
エンジンフードの裏側が結構大変な事に・・・
表は剥離剤を使えば問題ないのですが、フィンやヒンジの付け根辺りは無理だな。
やはり目は潰れず、スポット揉んで分解です。
おかげで手の届かないところが磨き放題。
防錆、サフプライマー後パネルボンドで接着です。
スポットの穴をずらさず接着すれば意外と綺麗に元通りになります。
やっと本番サフェーサーから塗装へと向かえそうです。
エンジンも同時に手を入れていく予定で、おそらく年内には走れるでしょう。
プリンスマーク
慎重にエンジンとミッションを時間かけて外したおかげで、ドアやフェンダーなどは比較的
に軽快な外し作業となってくれました。
S54Bスカイライン自慢の100ℓタンクはとりあえず使えそうです。
外見は綺麗でもタンクの中は後のお楽しみと言うことで・・・
剥離剤使って赤色を落として気付いたのですが、黄色が出てきたと思いきや、
オリジナル色のアイボリー色が出てきました。 元の色を剥離せず違う色を
被せているので、ある意味下地の鉄板は何10年も3層コートされた状態の様です。
ルーフライニングの裏に54Bのサインを発見!
勿論当時のサインで半世紀ぶりに日の目を見たと言う事でしょうか。
3層コートの塗装を向いてしまうのも惜しい気もしましたが、屋根だけ見ると
オリジナルの下地(鉄肌)は芸術だなと改めて感じます
残念ですが、リヤフェンダーは左右とも補修された痕があります。
リヤフェンダーを守る役目のインナーカバーは遙か数年後に設計された部品なので、
タイヤから出るゴミや雨水などはリヤフェンダー裏側に蓄積されてしまいます。
故に腐って当たり前でしょう。
屋根から後部へと剥離作業が進んでいきます。 侵食するように外側から内側
へとトランクの中まで剥離作業は進んでいきます。
剥離作業はパーツ部分1カ所に1日掛かるので、剥離が終わったところはすぐに
錆止めとプライマー処理をします。
スペアタイヤのラゲッジの腐りは見えませんが、非常に画像映えが醜いです。
僅かな腐食もありますが、鉄板に大きな穴が開いている訳でも無いので
このまま順調に作業が進みそうです。
次回は室内とフロントフェンダー、フード、ドアパネルといったボディから
外れたパーツの下地を綺麗にしていきます。
割れて交換したフロントガラスを細かく切って並べてみました。
並べてみると判るようにフロントガラスは、断熱機能やIRカット機能など様々な
化学的で繊細な技術が練り込まれております。
昔は単純に曲げていただけのガラスが、現在はあらゆる付加機能が付いてる複雑な
コンプリート部品となっております。
左はドイツ車のHUD(ヘッドアップディスプレイ)、中央は高機能IRガラス、
右はミラーベースの付いたグリーン系のフロントガラスです。
左のガラスの元がこちらになります。
BMW最新のGタイプ7シリーズで、レインセンサー下側に飛び石を受けて交換した
フロントガラスです。
外部から受信するセンサーの取付部分に電波を遮断しないように、HUD機能部分が
避けて作られている構造となっています。
また高機能フロントガラスは極端に薄く作られております。
低燃費を意識する世の中、無駄な物はトコトン削除する風潮が見て取れます。
しかしこれだけ完成された部品ですと、他に何か使えそうな気が致します。
物を粗末にできないと言うか、捨てれないと言うか、ケチなのか・・・
ひとまず、光学関係の会社様からのご依頼で作ったガラス試作品でございます。
HUD機能ガラスは様々な分野で使われており、バーチャル系や医療関係にも支援
できる、未来を担う商品になるのではないでしょうか。
ダイハツL200系ミラのウォークスルーバンです。
1990年代の何処となく見覚えのあるようなスタイルです。
生産台数も少ない様なので、見かける事も難しいかもしれません。
それ故車好きには堪らないお車ですね。
残念なことに、希少な車と言う物は部品もすぐ生産中止となってしまいます。
エンジン部品や足廻り、ボディーパーツやガラスなど消耗品が生産中止と
なってしまうと大変困ります。
お困りになったオーナー様が弊社を探していただき、ミラのフロントガラスを
作って欲しいと割れたガラスを送ってきてくれました。
最初お話を伺った時は平らなガラスかと思いきや、結構曲線が付いてる!?
時間は掛かりましたが、曲線がほとんど同じガラスを見つけることが出来ました。
新品ガラスの上に割れたガラスを乗せて、大きい部分を切っていきます。
横曲げが多いので、乗せた状態で型を取ると、横幅に内・外周の誤差が
出てしまいます。 寸法をしっかりと図らないといけません。
上下の切られた部分です。
フロントガラスが完成しました。
割れたガラスの上に乗せても、ぴったりと合います。
後は、ガラスの淵を削って切断面を滑らかにしていきます。
ご依頼主は静岡の車屋さんなので、フロントガラスのみを送る事にします。
ここからは静岡の車屋さんにて取り付け工程に入ります。
ミラのボディが黒からオリジナル調の黄色に塗装されています。
この艶の引けた様な黄色が当時の雰囲気を思い出させてくれますね。
昔よく花屋さんで使われていたような・・・
静岡のガラス屋さん、ご丁寧なお仕事ありがとうございます。
ガラスに付いているロゴマークもちょっと隠れてしまいますが、
何とかマークが残る様に切りました。
ひとまず車検対応です。
いいですね~。
当時は透明ガラスですが、現在の供給部品は9割以上緑系になってしまいます。
フロントガラスの色が少し違うのが残念なところです。
小生、旧車を好んで修理ばかりしていましたが、自分には何も所有する旧車が無いと
気付き始め、ついに半世紀以上昔のスカイラインを手に入れてしまいました。
タイヤは全てパンク状態、エンジン10年以上不動、妻には
「なんで鉄クズにお金払ってるの?」なんて言われる始末。
余計な出費をしたかと思いこんでしまいましたが、自分の直感を信じてトコトン
直してやろうと決心した次第でございます。
先ずは簡単なフード類から外していきます。
鈑金塗装の職人様方から見られると、ダメだ!とお叱りを受けそうですが、
自分の都合よくやり易い方法で進ませていただきます。
正面のフードを開けるとやはりエンジンが気になります。
ラジエタ―やウォーターポンプなどのオレンジ色は、出来れば見たくない所です。
エンジンを降ろそう!
気になっても仕方がないので、エンジンクレーンを借りてすぐに着工です。
配線やパイプ類、ウェーバー、エキマニ、など忘れないようにしないと・・・
何とも助かるのは、センサーなどの細かい装備が全くない事ですね。
いたってシンプルイズベスト。
続きはまたと言う事で。
懐かしいお車の入庫です。
日産3代目ローレルですが、初代メダリストです。
ローレル2代目130のSGXは今でも人気がありますが、この車は昭和50年代前半に
高級車(サルーン)として注目されてたいわゆるVIPカーになります。
SGXより生産台数が少ない希少車ですね。
残念なことに自然災害により、フロントガラスがバリバリに割れて
しまっている状態です。 アッパーモールもへこみが見られます。
ご自身の運転ミスでは無く、ただ駐車していただけなのにと
オーナー様も大変悔やんでおります。
オーナー様のマイカーへの思い入れを考えまして、
小生、少しでも元通りにできればと努力させていただきます。
と言いましても、本音は無理でしょ!と、泣きたい所かな・・・
部品なんてもう何処捜しても無いでしょう。
やむを得ず、現在流通しているガラスの中から
曲げの合いそうなガラスを探し、ボディの大きさに切っていくしかなさそうです。
わかってはいましたが、簡単には合うガラスなどなかなか見つかりません。
フロントガラス合計4~5枚は無駄にしたでしょうか。
努力は裏切らない!
なんてクサイ言葉も信じてしまうほど、ぴったり合うガラスを見つけました。
後はガラスを微調整で削っていきます。
周りのステンレスモールが鉄板ビスでしっかりと固定されます。
もしガラスの曲げが合っていなければ、ビスを閉め込む事は危険です。
仮付けで問題なさそうですので、ようやく取り付け工程にかかれます。
良い感じですね。
上部のボカシ色が緑から青に変更になりましたが、
違和感ありません、と言うよりオリジナルより綺麗かも。
完成となりました。
オーナー様が大変喜んでいただいたので、困難な作業でしたが
やりがいのあるフロントガラス交換となりました。
日産230セドリック2ドアハードトップです。
いかにも昭和の匂いが漂いそうな
懐かしいフォルムであります。
ボディ塗装が終わった後フロントガラスを交換して欲しいと、
お車を持ち込んでいただきました。
割れは有りませんが、経年劣化ゆえ隅っこの気泡が気になられるとの事。
メッキや内装も綺麗にされている状態なので、さすがに
ガラスは気になってしまう所なのでしょう。
しかし230セドリックはガラスの型がセダンしか存在しません。
ハードトップのガラスは存在しないという事になります。
全体の曲げが有っていましたので、上部3㎝程切って使えそうです。
黒セラミック部分を切るのは、やや大変な作業となってしまいます。
ガラス端を黒セラミックで作ったのが残念ですね。
無事にフロントガラスが付きそうですが、黒セラミックがちょっと気になります。
モダンなセドリックと言ったところでしょうか。
’77年型リンカーンコンチネンタルです。
40年以上前のいかにもアメリカンドリームを叶えている様な存在感があります。
とにかくでかい! 全長6メートル以上でしょうか?
本来付いているガラスがアクリル樹脂に代わっております。 これはルーフパネルを切って
幌タイプに改造されている為、補強の意味でピラーを溶接増ししたものの最後のガラスが
合わなかったと言うケースでしょうか。
しかしアクリルウィンドは曲げもしっかりと作られており良く出来た作りですが、
せっかくのリンカーンも残念な車となってしまいます。
横幅が長いので、普通車では対応できません。
しかし曲げが思ったよりキツイので、トラックなどのガラスも全く合わない状態です。
4~5枚ガラスを無駄にしながら、一番近いガラスを何とか見つけた所です。
諦めようとしても最後には見つかる物ですね。
ガラスを見つける手伝いをしてくれた問屋に大変感謝です。
ガラスを乗せた状態です。
多少上部の曲げが合わない為、外側に付くステンレスモールも加工が必要となります。
幌を閉めた時にかなりのテンションが掛かりますので最終チェックは緊張したな~
ワイパーも無事装着されて問題なさそうです。
完成です。
オーナー様はまだお若い素敵なご夫婦でした。
奥様も運転されるそうですが、さすがにアクリルでは見づらく危険でしたでしょう。
上部にボカシとルームミラーも付いて気分もさぞかし晴れやかではないでしょうか。
もしガラスが割れてしまったら、合うガラスも見つけましたのですぐ対応できそうです。
1970年代にフランスの商用車として活躍したSaviemです。
日本語ですとサビエムかサビームと私は発音しております。
半世紀近く過去に作られた、いかにもフランス車らしいおしゃれなデザインです。
後部にはパンを焼く窯が乗っており、どことなく子供たちがはしゃぎながら
集まってきそうな夢の有る車ですね。
しかし夢の有る車もフロントガラスが無いと公道を走る事ができません。
当時はフロントガラスも強化ガラスが一般的に流通してました。
安全合わせガラスなどとても高価で高級スポーツカーぐらいしか仕様してません。
強化ガラスは一度飛び石を受けるとコッパ微塵に飛び散ってしまいます。
フロントガラス製作を工場に頼めば生産ラインや多くの人脈を動かす事になるので、
とんでもない金額が掛かってしまいます。
オリジナルの強化ガラスを探して交換するより、現在流通している合わせガラスを
加工して取付けた方が安全でかつ安価に済みそうです。
しかしこの左右の曲面は非常にきついアールです。
現在生産されているフロントガラスから曲がりの近い物を選び、大きさを
図りながらカットしていきます。
一枚目は曲げが合わず、二枚目に挑戦です。
二枚目は中心から左右両端200ミリ内側までは見事に合っています。
しかし端っこの曲げはかなりキツイ・・・
ちなみにカットは全て硝子カッターで手作業の施工となります。
考えた結果、マスキングテープのラインでガラスを切るしか無さそうです。
切ったガラスのつなぎ目は段差を無く加工して、シール剤でつなぎ合わせます。
純正のゴムもそのまま使えて問題なさそうです。
つなぎ目の外側にモールを張ればちょっとお洒落かもしれません。
ワイパーアームもガラスに合わせて曲げて作りました。
安全上考慮して、100km以上の距離を高速道路を走ってテストした結果、
問題無く無事に車検も通ってくれました。
フロントガラスは当時のオリジナル感が無くなってしまいましたが、
愛らしいヘッドライトで何故か好感を持ってしまいます。
子供たちは車の正面を顔に見たてる事が多いですからね。
末永くパンを焼いて働く車でいてください。